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やすらぎの杜

NHK首都圏ネットワークでPoMAの取り組みが紹介されました。

2018年2月27日放送「NHK首都圏ネットワーク」で

PoMAの取り組みも紹介されました。

以下「NHK首都圏ネットワーク」のサイトより転載

19人が殺害された障害者殺傷事件から1年7か月。

事件を乗り越えようという取り組みを見つめる「19のいのち~あすへの一歩」です。

 

2月、都内で障害のある方々の作品を展示する催しが開かれました。

1人1人の行動の奥にある「表現」に目を向けてほしいという試みが始まっています。

大量の広告の切り抜きや、ちぎった紙を丸めたかたまり。

ふだん、アートとして見られていない、障害のある人たちの行動に目を向け、それをその人の「表現」として展示しています。

棚の中に、整然と並べられた洗剤などのボトル。

「これは、ご自身の理想どおりに並べるのが大好きな方の、施設の備品庫の中にあるものを理想どおりに並べた形を展示したものです」と説明がありました。

会場を訪れた人も「何だろうと思って、売っているのかなと思ったら、これもまた展示なんだと思って」と、ちょっと驚いた様子です。

展示会を企画したのは、都内の障害者施設で働く小川由香里さんです。

小川さんは、すぐに理解することが難しい行動の奥にも、その人が生み出す「表現」があることを伝えたいと考えたといいます。

小川さんは「見ていただくとわかるように、絵だけではなくて、これまでにない幅広さが作品の中で広がっているので、ぜひそういうところで、人の表現の奥深さを感じていただけたら」と話しています。

小川さんが訪れたのは、東京・練馬区の障害者施設 やすらぎの杜 です。

今回の展示会に参加しています。

作品を出品した遠藤孝雄さん(43)です。

遠藤さんは、自閉症でこだわりが強く、絵を描くときにパレットにバケツの水をそのまま注ぎ、周囲をべたべたにする癖があります。

「まわりの方のスケッチブックが、あの色で染まってしまったりとか」。

ほかの人にとっては迷惑な行動なため、やめさせたほうがいいという意見もありました。

しかし、しばらく様子を見ていると、乾いたあとに独特の色合いが出ることに気づき、遠藤さんの作風だと感じるようになりました。

小川さんは「角度を変えて見ていくというのは、すごく大事だなと思います。職員と遠藤さんがお互いに歩み寄りながらできたんだろうなと思って、感動しました」と話しています。

「きれいな春みたいな色合い」。

遠藤さんの作品が選ばれ、両親も驚きました。

これまで知らなかった新たな一面を発見できたといいます。

遠藤さんの母親は「ぼかしが入るんだろうと思って、どう描いたらなるんだろう」と感心した様子で、「想像できなかったですね。同じことをずっと集中してやるみたいなことが、一番苦手なことだったと思うのでね。心の中が色に出たのかなって思って、そのきれいな色がとてもうれしかったですね」と喜びを隠せません。

 

障害のある人たちが1人1人持つ、それぞれの「表現」。

施設の職員たちにも影響を与え始めています。

やすらぎの杜 で暮らす鈴木直美さん(45)。

チラシや紙などを持って帰っては部屋中に貼り付けるのが癖で、以前は職員が問題視して、すべて剥がしていました。

職員は「最初は『うわあ』って思ったんですけど、直美さんが一個ずつ説明してくださったりするので、意図があって貼られているものなんだなって」と、今は理解を示しています。

「これどこでゲットしたの」。

「あった本」。

「本にあったの?」。

直美さんの独特の行動。

職員がチラシを剥がさずに毎日観察していると、直美さんの気持ちの変化が壁にも表れていると気づくようになったといいます。

「今ちょっと心荒れているのかなっていう時は、ごちゃごちゃに貼られていたりする」。

さらに、毎日直美さんから手渡されるメモにも目を通すようになりました。

その日あったことや気になることなど、とりとめのない内容ですが、コミュニケーションが増えたと感じています。

「会話があまりとれていないときは、きょうの直美さん、こんな気分だったんだなとか、これを見てから聞いたりとかはしています」。

障害のある人たちが紡ぎ出した作品の数々。

そこに込められたそれぞれの個性を知ってほしい。

小川さんが踏み出した「あすへの一歩」です。

小川さんは「発散している感じもあれば、本当に緻密に大事に描いている感じもあったり、生活の中で味わった感情というのが作品の中に込められている感じがする作品が多いので、人の奥深さとか、感情の奥深さというのが障害があってもなくても人の中にあるんだなってことを、感じていただけたら」と話しています。

 

この展示会には、70人余りの方が出品したということです。

ことしの展示会はすでに終了してしまいましたが、小川さんは来年以降も継続して行っていきたいと話していました。

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